数年前でしょうか。
上の歯の部分入れ歯の不具合を訴えた患者様Aさんのケース。
(長年その部分入れ歯を使用して、愛着が沸いている大事な入れ歯)
上の歯は残り2本。
残り2本のところに、留め金具をしてあります。
残り2本のうちの、1本の歯の損傷が激しく、現状の入れ歯の使用が不可能になりました。
入れ歯が無いと、お食事も不可能な状態でしたので、残り1本で義歯が動かないように応急処置を施し、
1本の歯の治療を継続しました。
いざ、新しい義歯を作っていきましょうという段階になり、新しい義歯のご説明を始めると、
今の義歯を作り替えたくは無い!!との強いご要望。(今は使えてるし噛めるし。。)
お気持ちはお察しします。
しかし、今の残り1本の歯に入れ歯をひっかけている状態では、残りの1本にもダメージが及ぶ。
患者様にその旨をご説明差し上げても、どうもご納得いただけないご様子。。
こういうとき、歯科医は困ってしまいます。。
今の状態だけ満足しておいて、最終残り1本の歯がダメになったときに、
この患者様はきっと後悔されるのは明白。
こういうところに歯科医師の苦悩は続きます。。
部分入れ歯の不満を訴えた患者様Bさんのケース。
とある日。Bさんがご来院。
入れ歯の不満を訴えていらっしゃいます。
入れ歯が、とっても具合が悪いので、作り直してほしいとのご要望でした。
きっと、こんな入れ歯は良くない。新しいほうが良いに決まってると思ってご来院されたのでしょう。
私は、「この入れ歯は修理調整して使いましょう。」
患者様Bさんは、「新しく作っていただいても結構です。第一、他の歯科医院で作った入れ歯を調整させるなんて申し訳ない。」
お気遣い有難うございます。
お気持ちは嬉しいのですが、Bさんがとっても嫌悪感を感じていらっしゃる現在の入れ歯。
大丈夫です(笑)
一回調整すれば良くなることは明白。
さっさと調整してしまいましょう!
結果的に一回の調整だけで、すごく噛めるようになりましたと。
めでたしめでたし。
Bさん曰く、「今度なんかあったら、また新しく作ってくださいね」
必要があれば、またいずれ(笑)
悪質リフォーム業者の話を聞いたことがあります。
お宅の壁にヒビが入っています。
このままにしておくと大変危険ですと(笑)
いますぐ修復が必要で、費用は○○万円かかりますと。。
ある日。Cさんがご来院。
入れ歯の見た目が気に入らないとご相談。
入れ歯の見た目に、大変お悩みだったそうで、元々通院していた歯科医院では、
お悩みを言い出しにくかったらしく、一人でお悩みを抱えていらっしゃいました。
恥ずかしくて、もう外も出たくないと、大好きなダンスもしなくなりと。。
お嬢さんのご紹介で相談にいらっしゃいました。
まず大事なのは、思いのうちをドクターに話すべきです。
お気遣いいただけるのは、大変嬉しいことですが、
入れ歯の治療は、ドクターが診る部分だけでは判断しきれません。
実際のお悩みを言っていただいて、はじめて判断や治療に反映される部分も多いのです。
患者様の心理として、「もし違う医院に通院して、また同じことになったらどうしよう。。」
とっても恐ろしくて、勇気もでません。
私は、「もし見た目が気に入らなかったら、今度こそお申し出くださいね。
ご納得いくまで調整させていただきますから。」
患者様とのコミュニケーションの中で、無理難題を押し付けられるのは、
この仕事で一番困ることの一つです。
逆に、お気遣いいただけるのも有り難いのですが、お話いただかないと理解できない部分も沢山あります。
必要であれば、必要。不必要であれば不必要。可能であれば可能。不可能であれば不可能。
はっきりとご説明して差し上げます。
ご自身が信頼できるドクターを見つけて、かかりつけにされるのが一番よろしいことは、
間違いないでしょう。