歯科医師
知識レベルが低い。モラル意識が低い。お医者さんと比べてです。
次亜塩素水を歯周病予防や治療に効果があると称して、患者さんに数千円で売りつける。
これは現時点では行うべきではない行為だ。
昨年コロナウイルスの件が世の中に広く知られるようになったころ。
マスクが消えた。アルコールが消えた。
近隣の大型の店舗には、連日のように朝からマスクを求めて行列が出来ていた。
アルコールの消毒液が欲しいといっても手に入らない。
そこで次亜塩素水がウイルスに効くと称して販売する業者が多発した。
「これはウイルス対策に良いらしい」と噂を聞きつけて購入した患者さんもいらっしゃった。
もしこの件について、お医者さんに尋ねたとしよう。
お医者さんの回答として。
回答1:この薬はコロナウイルスに効くので是非お勧めできます。
回答2:この薬はコロナウイルスには効かないので推奨できない
回答3:この薬は、まだ現時点ではコロナウイルスに効くかどうかは不明なので勧めない。
お医者さんのあるべき姿として、正しい回答は回答3です。
回答1や回答2を答える医師がもし世の中にいたとしたら、免許をはく奪しても良いレベルかと。
その後、コロナウイルスの手洗い後の消毒に次亜塩素水を用いることが有用かどうかはきちんと調査はされた。
ここで大事なことは、アルコールの代用たるかどうかだ。
アルコールが手に入るのであれば、消毒用アルコールを使用すればよいと前提があってのことだ。
約1か月後。
経済産業省からの情報が公開された。
次亜塩素水を手洗い後の消毒液として、コロナウイルス対策として使用してもよいとの報告がきた。
これは、使用における安全性や有用性を含めての報告だ。
次亜塩素水に関しては、殺菌効果はあります。
お口の中でうがいをしても、おそらく危険性はないはずですし。殺菌効果があることは、
2009年の学会発表や同時期の論文で示されています。
しかし殺菌効果がある=歯周病予防や歯周病治療に有用だというのは間違えた考え方なのです。
過去に臨床研究として、
殺菌効果が認められるうがい薬を使用し、
歯周病治療と併用して、歯周病の改善に効果がなかった薬が多々存在するのです。
うがい薬で一時的に多少の歯周病菌を減らしたところで、歯周病菌はまた勝手に自然に増えてきます。
歯周病治療と併用して使用して効果がなかったという結果は納得のいくものとなる論文は存在します。
現在の歯周病学会の立場としては、基礎的な研究がほとんどであり、
人に対しての安全性と有用性は高いレベルで示されているものでなく、
臨床研究についての報告がこれまでにない。
と明確に述べられています。
これを歯周病に効く薬だとして、患者さんに数千円で販売するのは
歯科医師として、やってはいけない行為です。
これは効果の真偽がはっきりしないワクチンを勧める行為とほぼ同義ですよね。
あろうことか歯のプロである歯科医師がですよ。
平気で数千円で販売しその対価を得ている。
許されるべき行為ではありません。
インターネットやSNSが普及した現代。
ここ数年で急速に色々な情報に溢れかえる時代になりました。
情報の中身は玉石混交。
常に情報を得ることに対して思考をしていかなければならない時代です。
【一次情報】
情報源となる独自の情報や公的機関が発表する情報など
【二次情報】
人から見聞きした情報や一次情報をもとに編集された情報など
【三次情報】
情報源が分からない情報
先ずは情報を分類することを常に念頭におかなければなりません。
基本的には一次情報のほうが、二次情報や三次情報より信頼性は高いと言えます。
ただし、一次情報が正しいとは言い切ることはできず、
信頼にたる他の専門家の意見をうかがってみるのも良いでしょう。
経済産業省の発表した次亜塩素水を手洗いに使用することは、おそらく正しいものと私は判断します。
しかし歯科医師が、次亜塩素水が歯周病に効くということに関しては、
ハッキリと否定します。
何かのはちみつが歯周病によい、茄子の成分が歯周病によい。
これらはもっと信頼に足らない三次情報です。
※2021年6月24日
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