抜歯するべきか否か。
近年の歯科医師の考え方は、出来る限り歯を保存する。
抜歯はできる限り避ける。
これは、基本的な概念として、歯科医師の間に浸透してきたと思います。
しかし、
本当に、歯が割りばしのように真っ二つに割れて根っこまで割れて。
いかなる治療も施しようのない状態。
そんな状態で抜歯を拒否する患者様がいらっしゃいました。
ちょっと論外ですが。。
二日間にわたって、院内でいろんなケースを持ち出してきて議論をしています。
いつ抜くか?
今でしょ(笑)
ってわけでもありません。
本日のケースは今抜いても、後で抜いても同じじゃないですかね。
歯科衛生士と話し合い。
共通の認識として、抜歯しなくても可という結論に至り、抜歯せず。
本日のまた別のケースは、下の左右の奥を抜歯するのは今しかない。
どう考えても抜歯をするケース。
今抜歯をしなければ、入れ歯を二回も作り直すことになる。
半年後かもしれないし、一年後かもしれない。
直ぐに二度手間が必要になる。
かつ、同時に歯周病の環境を改善し、他の歯を守るため。
そして、長い目で見て判断した場合、そのほうが今後沢山歯が残せるから。
他の歯を残すために、今あえて抜歯をするのです。
木を見て森を見ずに絶対にならないようにしなければならない。
患者様にご説明差し上げます。
若かりし歯科医の頃。
大学准教授に言われて絶対に忘れない言葉。
「予知性の高い治療を行いなさい。」
19年目の歯科医となった今も、常に胸に刻んで片時も忘れることなく実践しています。
とある患者様。
右下の親知らずが、とっても危険なことになっていました。
抜歯をすすめたところ、頑なに拒否。
今までは抜歯を勧めませんでしたが、勧めるべきときに、勧めたわけです。
次の来院時にも拒否されました(笑)
以前からお話しているのですが。。。
するとその患者様が仰るには。
「私の信頼している内科医が抜歯なんてしないほうがイイって言っていた。」
私「・・・・」
「その内科のお医者様は、お口の中の状態を診たのでしょうか。」
見ていない。
なんと無責任なお医者さんであることか。
ちょっとした発言がその人の行動に与える影響をまったく考慮しない。
数カ月後。
その患者様は、親知らずの件で入院しなければならない事態に。
だから言ったでしょう。。
こちらとしては、その場の感情で話しているわけではないんですよね。。
とある市民病院で、抜歯しないで経過観察をしてもよいでしょうと、勧められた患者さん。
当院の博識の歯科衛生士と、その患者さんの抜歯の要否について話し合った。
色々話し合ったが。
私、「あなたが、この立場なら、この親知らずを抜く?抜かない?」
歯科衛生士「絶対に抜きますよね。抜きたいです。」
何で本音とタテマエが違うのでしょうかね。
こういったケースで抜歯をしなかったケースを出してくる。
歯科衛生士に見せる。
後にもっと酷いことになっている。
やはり親知らずを抜歯をすべきケースですね。
歯科衛生士「市民病院でそう言われてしまうと、患者さんに説明しても信じてもらえないです。」
私、「確かにそうだ。もう伝える言葉が見当たらない。。。。。」
こうなった時、説明する側っていうのは、ちょっと手づまりになってしまいます。。
治療を拒否する方には、
状況を説明する責務があり。
拒否するから説明しないんじゃなくて。
例えばお医者さんが、癌を見つけたら、法的には説明しなければならない。
その上で、患者さんがガンの治療を拒否した場合、お医者さんには治療を強制する権限はないのです。
私は歯科衛生士に。
「状況だけは、しっかりとご説明差し上げてください。」
そういうしかないのです。
実に悩ましいことです。