この文章は、私が患者さんと実際に会話した内容をそのままお送りします。
事実に基づいて書きます。
小話パート1
とある20代のアメリカ人男性。
歯石をとってくださいとご来院(この時点ですでに日本人と違うような。。)
アメリカ人男性:以降(ア)
ア:「先生、歯と歯の間を磨くのと、ブラッシングするのとどっちが大事なんですか?」
私:「どちらかというと歯と歯の間を掃除するほうが大事ですね!」
ア:「じゃ、何故日本人はフロス(糸ようじ)をしないのですか?」
私:「うっ。。」
ア:「アメリカではブラッシングよりフロスの方が大事だと言われます。」
私:「アメリカでは幼いころからそういう教育を受け、周囲もフロスをやってそういう環境で育ってきたのでしょう。一方日本では若いころよりフロスをやる環境にないので、大人になってからいざフロスが必要ですと訴えてもなかなかしていただけないんです(涙)」
ア:「。。。」
小話パート2
とある日本人の70歳代の男性。かなり重症の歯周病。
私も当院の歯科衛生士もその男性の意識改革を促そうと必死になって説明してきた。
私:「歯間ブラシをしてください。歯と歯の間にかなりの汚れが溜まっています。このままではせっかくの歯周病治療も意味がなくなります。」
70男性「そんなんめんどくさくてやってられへん。ワシらの周りはそんなんやってへんわ!」
70男性「気分悪いわ」
私:「。。。」
小話パート3
とある日本人女性。イタリアに二年ほど滞在し、イタリアでお付き合いする男性ができたとのこと。
イタリアに行く前に私は女性に言ったのです。
私「是非イタリア人がフロスをやってるかどうか見てみてください。。」
数年後にご来院頂いた時に。。
女性「私がフロスやってないって言ったら、すごい剣幕で(それだけは絶対にやってくれと言われた)」
「お付き合いしているパートナー男性だけでなく周囲の人からもいわれちゃいました。。」
私「そうでしょう。先日イタリアの歯周病に関する書籍を読んでたんですよ。イタリアの歯周病治療にかんする支払い明細が載ってたんですね。すると600ユーロ。ほぼ10万円じゃないですか!」
女性「そーなんですよ。めっちゃ高いんです。街中を歩いていておじいちゃん・おばあちゃんが歯が無い人がいっぱいいるんですよ」
小話パート4
とあるアメリカ人男性(神父さん)
私「残存歯、80歳 2005年の調査。平均で28本中6.8本」云々。。
アメリカ人男性→険しい顔。
アメリカ人男性「私が来日したときは、フロスを買いに行ったら売ってなかってびっくりしたんですよ!最近日本でもフロス売っているじゃないですかっ!きっと日本人もこれから歯がよくなりますよ!」
私「売ってはいますが、まだまだフロスをやっている人は少ないんですよね。。」
アメリカ人男性「。。。」
小話パート5
当院に半年に一回のペースで歯石取りを受けていただいている男性。
かれこれもう10年をこえます。ずっと来てくださる。有難いお話ですが。。
私「もうかれこれ10年以上も定期的に歯石取りに欠かさず来ていただいています。いったいこういった予防処置をアメリカにいたころいつから受けられているのですか?」
アメリカ人男性「うん。子供の時から」
私「。。。」
その男性は50代ですが、過去に虫歯で詰めた後が三カ所のみ。
大きさは2mmほどのごく小さいものが合計三カ所しかない。
もちろん歯周病も一切ない。歯磨きはビックリするくらいキレイ。フロスも欠かさない。
皆さんに彼のお口の中を是非一回見ていただきたいと思っちゃいますね。
小話パート6
日本人女性。齢80歳。初診でご来院。
お口の中を見ると80歳にして歯が28本中、28本残存。
私「すごいじゃないですか。全部歯が残っていますね。〇〇さんは若い時から今までいったいどんな歯磨きをしてきたのか私に教えていただきたい。」
80歳女性「先生、ワタシね。40歳のころから毎日ずっと欠かさず歯間ブラシをしているの」
私ビックリ!
私「じゃ歯石取りとかは、どないしてはったんですか!?」
80歳女性「いや、前の先生がね。もう年やから閉院しちゃったの。だからおたくにお世話になってるんやけどね。前の先生が定期的に歯石取りなさいって言うもんやから、ワタシ行ってたの。」
私「。。。。」
この方、人に言われたら何でもハイハイって言うのかなぁ。オレオレ詐欺にひっかかったら騙されちゃうんじゃないでしょうか(笑)何でも受け入れる性格をされていらっしゃるのですね。今まで良い先生に診てもらってたんですね。変なこという先生だったら、それも受けいれてしまう性格なのかもしれない。。
ある日のことです。受付の裏にたまたま立っていたら。入り口の自動ドアが開く音が聞こえてきました。
受付にスタスタとくるやいなや。即刻。。
その女性「歯間ブラシちょうだい!」
その姿を見てちょっとだけクスっとなってしまいました。
スゴイ!
小話パート7(ここから先へ読んでいってはいけません(笑))
私が大学3年生か4年生の頃。歯周病学の実習がありました。
歯磨きの件について実習で教わるのです。
気合一発シャカシャカ必死に磨きました。
実習の担当の先生がマイクで
「誰や!音をシャカシャカ立てて磨いているのは!!!」
そう。私です(笑)
助手の先生が私の下に歩み寄りました。
優しい先生で私を叱責することなく。手取り足取り。
先生「こうやってこうやって。こういうように磨くんだよ。
今のこのされている、磨かれている感触を忘れないで。」
「じゃフロスをやってみて。フロスした?それのニオイを嗅いでみて」
私「くっさー!」(笑)
先生「騙されたと思って一週間フロスをつづけてみて、一週間後にニオイを嗅いでみてね」
一週間後の私。驚いたのはいうまでもありません。
今もその先生には感謝しております。
多くの皆さんは、自分の口の状態はわかったとしても。
海外の人がいったいどうなのか?
あるいは日本人でも他人はどうなのか?
知らないと思います。しかし我々は、日々こういったものを見続けているんですよね。
もしこれを読んだあなたが歯間清掃をしていなかったとしましょう。
これからすればいいんです。
歯間清掃をやめてしまっていたとしましょう。
また再開してください。
御来院時にしてないと指摘されたとしましょう。
その日からまた始めていただければいいんですよ。
そのためにご来院いただいていると私は思っていますので。