とある歯医者さんで、とある患者さんが、歯の神経を抜かなければならないと言われました。
セカンドオピニオンでご来院されました。
お気持ちをお察しします!
私だってそうです!!自分の歯の神経は抜きたくありません!!
患者さんに対してだって、そうです。
神経を抜きたい訳ではないです。
簡単に神経を抜くという医院さんもあると聞きますが、一部だと信じたいです。
だって、神経を抜くと、歯が脆くなるんです。
神経を抜くと、歯の寿命は短くなるんです。
ただ、神経に細菌感染を起こし、神経の炎症が収まる可能性が無い場合は、
どうしても神経を抜かなければなりません。
一つ言っておきますが、神経に炎症を発生させた場合は、そのほとんどが収束はしません。
C1とかC2とか。
聞いたことありませんか?
検診の時にC2とか。
図中のC3のように完全に神経に細菌感染を起こしてしまった場合、いくら消毒しても、
神経は回復しません。
8年ほど前です。
初診の患者さんです。
C3のような状況を通り越して、もう神経は死んでいました。
(表現は良くないですが、もう神経は腐ってしまっている状態)
私「もう完全に神経は死んでしまっています。すでに腐っているような状態です。神経をとりましょう。」
患者さん「絶対に嫌です。神経を取りたくありません」
随分と説得をしたんですが、どうあってもとりあってもらえません。
腐っている神経を放置し、中に残したまま上に詰め物をする。。
恐ろしいことです。
そのままでは、神経の管の中の細菌は、根の周囲の骨に感染が波及し、骨を溶かしたり、
歯そのものの存続を脅かすまでの事態だったのです。
では、もしその状態を理解している歯科医師が、そのまま歯を詰めるのと、
神経を取るのとどちらが罪になるかご存知でしょうか?
そのままにしていて、歯がダメになると解っていて、神経を取らなかったら、
歯科医師として罪に問われる場合もあります。
どうしても、聞き入れていただけない、ご理解いただけない場合は、
治療をお断りするより他にない場合があります。
その方は、他の歯科医院に行ってても、同様のことを言われるでしょう。
早く気づき、歯が無事なのを祈るしかありません。
C2とC3の間。
この辺りが、神経を残すかどうかの境界線になります。
神経の保護剤等を詰めて、様子をみたりするんですが。。
この場合、神経の保護剤を詰めて、100%治るわけではありません。
神経を残す云々ではなく。とにかく痛みをとって欲しいという患者さんもいらっしゃいます。
神経を残すほうに、賭けて神経の保護剤を詰めて、後でやっぱり痛みが出た。。
(ヤブ歯医者扱いにされてしまいます(涙))
とにかく、神経を抜くべきときは、抜く。
残る可能性があるときは、可及的に残していく。
この線引きは大事です。。