お子様の上手な受診の仕方「お母さん心得」

病院を脅し文句に使わない

「歯を磨かなかったら歯医者さんに連れていくよ！」
「そんなに悪いことしたら病院で注射してもらうよ！」
などと脅し文句を言って、病院や歯医者に対する怖いという刷り込みをしないでください。

ほとんどのケースでは、麻酔がなくとも痛みのない治療が可能です。

お母様から、お子様にじっくりと虫歯の存在と治療する旨を説明してみてください。注射が嫌いなお子様であれば、最近の治療はほとんど痛くない旨も説明してみてください。きっとお子様なりの理解が得られると思います。
他の所に行くふりをして、実は歯科医院に連れていったなどは逆効果です。心の準備ができず、次回連れて行く時の強い不信感に繋がります。

「甘え」と「恐怖」の区別をつける

「甘え」と「恐怖」の区別がつかないお母さん方は実際に結構いらっしゃいます。
恐怖感を感じ歯医者さんを嫌がって泣いているお子様。
実際は精神的には成熟しているのに「甘え」が出て母親や先生の前でゴネ倒したら、何とかこの場を逃れることができると思っているお子様がいらっしゃいます。
前者は一般的に３歳程度まで。この場合は励ますことです。
後者は一般的に４歳以上から。この場合は叱ることです。

例を挙げますと、４歳のお子様がとても上手に歯科治療ができていました。
ある日から、突然言うことを聞かなくなり３回くらい治療ができずに帰りました。
次の回から、おばあちゃんと来ていただいて、おばあちゃんは出来ない子供を一言だけ叱りました。
たった一言で、そのお子様は治療を受けることが出来たのです。

甘えがある場合は、治療に立ち会わないのも一つのポイントです。こういった場合は、お母さんは待合室で治療が終了するまでお待ちくださいませ。

当院での取り組みについて

「Tell show do法」（テル・ショー・ドゥー法）

Tell show do法とは、お子様に実際の治療の様子を治療前に見てもらう方法です。虫歯を詰める時には、実際の虫歯を詰める器具や材料を用いて、詰め物が固まる様子を実演します。お子様の手には詰め物を持ってもらい、固める装置で固めます。お子さまの手のなかで、詰め物がどんどん固まっていきます。
実際に治療する様子を見て、今から何が起こるのかを把握し、不安を取り除く方法です。

「系統的脱感作法」（けいとうてきだつかんさほう）

系統的脱感作法とは、簡単に言えば徐々に慣らしていくという方法です。
一回目の来院時には、歯磨きだけで終了する。二回目の来院時には、歯に触れず歯を削る器械や詰める器械を、実際にお口の中に入れてみる。三回目の来院時には詰めていくという方法です。
可能な限り、無理矢理治療を行うという方法を避けます。
みんなに、歯医者さんが好きになって欲しいという当院スタッフの願いです。

「緊急時の対応について」

治療が緊急性を要する場合は、上記の方法をとっている時間がない場合があります。歯の外傷や、重篤な細菌感染など、「次回にまた来てください！」という猶予がない場合です。
こういった場合は、お母さんにご説明し、嫌がっても治療を進めていかなければなりません。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。